乏尿(無尿)

Q1:乏尿(無尿)とは?
A1:1日の尿量が500cc以下の場合を乏尿と呼び、1日の尿量が100cc以下の場合を無尿と呼びます。異常に尿量が少ない病態です。尿が出ないので、足がむくんで体重が増加します。

Q2:乏尿(無尿)はどのような場合に出現?
A2:ショックや大出血による体液量の減少、血圧の低下などで見られます。急性腎不全、急性尿細管壊死、慢性腎盂腎炎、尿路の閉塞などの病気で起こります。

頻尿

Q1:頻尿とは
A1:普通の人は平均1日に1リットル~1.5リットルの尿を4~6回に分けて排尿します。しかし、頻尿の人は昼間に8回以上、夜間では2回以上トイレに行きたくなります。尿がたまっていないのに、何回もトイレに行きたくなる症状のことです。乳幼児などでは多く、年齢により排尿回数は異なります。

Q2:頻尿の時の検査
A2:尿試験紙で白血球数や尿沈渣を調べ、尿道炎、膀胱炎などの尿路感染症の有無を調べます。腫瘍性病変が疑われる場合は超音波検査、内視鏡検査、生検などを行います。

Q3:頻尿はどのような病気
A3:頻尿になりやすい膀胱刺激症状のある疾患は、急性尿道炎、急性膀胱炎、急性前立腺炎などです。末梢神経障害による神経因性膀胱でも頻尿がみられます。
 刺激により尿意が起こり易くなる場合として、前立腺肥大症の初期、膀胱炎、過活動膀胱、膀胱結石などがあります。膀胱にたまった尿を出し切れない(残尿)場合として、前立腺肥大症、前立腺がん、神経因性膀胱、膀胱頚部硬化症、尿道狭窄などの下部尿路閉塞性疾患があります。膀胱が小さくなり尿を多くためられない場合には、間質性膀胱炎があります。

Q4:頻尿の治療薬
A4:薬物療法としてパップフォー、ポラキス、ブラダロン、リーゼなどを服用します。

多尿

Q1:多尿とは
A1:1日の尿量が3000 mlを超える場合を多尿と呼びます。のどの渇きを訴え、脱水状態になります。

Q2:多尿を起こす病気
A2:尿量は抗利尿ホルモン(ADH)分泌により調整されております。多尿にはADH反応性多尿とADH不応性多尿の2種類があります。ADH反応性多尿として原発性尿崩症、続発性尿崩症、強迫性多飲症、補液過量があります。ADH不応性多尿として遺伝性腎性尿崩症、症候性腎性尿崩症、糖尿病、慢性腎不全、腎不全の多尿期などにみられます。薬剤性多尿は、マンニトールやナトリウムの投与、高カロリー輸液、利尿薬の連用、炭酸リチウム、デメクロサイクリン、血管拡張薬、強心薬でも起こります。

糖尿

糖尿は私の友人で最も多い病気です。
中には足の指を切断するはめになった者や、足ごと切断する者まで、余り自覚症状の無い病気ですので油断をするとほんと恐ろしいですね!

Q1:糖尿とは
A1:血糖が腎臓で濾過されて出てきたものが糖尿です。腎臓の糖排出閾値は160mg/dlですので、血糖値がこの値を超えると糖が尿中に排泄されます。健常人では、糸球体から濾過された糖は尿細管でほとんど再吸収されるので、ごく微量の糖が尿中に排泄されます。

Q2:糖尿はどのような病気
A2:糖尿が出現し高血糖を伴う場合は、糖尿病(インスリン依存型糖尿病、インスリン非依存型糖尿病)、甲状腺機能亢進症、下垂体機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、副腎髄質機能亢進症などです。高血糖を伴わないで糖尿が出現した場合には、腎性糖尿(腎尿細管におけるブドウ糖の再吸収能低下、腎の糖排出閾値低下)、妊娠、ステロイドホルモン服用、重症肝障害、麻酔、脳腫瘍、頭部外傷、薬物中毒、尿細管障害などが考えられます。

Q3:糖尿の検査
A3:糖尿の検査は通常、試験紙法で行います。しかし、ビタミンC、エピネフェリン、グルクロン酸などが尿中に多量に存在すると、酵素反応は抑制されて試験法では偽陰性となりますので注意が必要です。糖尿検査は糖尿病を診断する上で重要な検査ですが、陽性であるからといってすぐに糖尿病とは診断できません。糖尿検査で陽性の場合は、血糖値、HbA1C、グリコアルブミン、75g糖負荷試験などを行い、糖尿病であるかその他の疾患であるかを鑑別します。

タンパク尿

Q1:タンパク尿とは
A1:タンパク尿は腎臓病発見の手がかりの一つですが、正常尿中にも1日に50~150mg程度のごく微量タンパクが排泄されています。また、健常人でも激しい運動、ストレス、タンパク質の多い食事、月経前に出現することもあります。

Q2:タンパク尿が出た時
A2:タンパク尿は一般に試験紙法で判定します。タンパクが存在しないときは黄色、タンパクが存在するときは青色に色調が変化します。タンパク尿が出現したら、尿沈渣、BUN、クレアチニンなど他の腎機能検査の結果と合わせて診断します。

Q3:タンパク尿はどのような病気の時
A3:腎臓の糸球体や尿細管に障害が生じると、血液中のタンパクが尿に漏れ出てきます。従って、この検査だけでは腎臓の病気だと判断することはできません。急性・慢性糸球体腎炎、急性尿細管壊死、腎盂腎炎、多嚢胞腎、ネフローゼ症候群、腎移植後の拒絶反応、悪性腫瘍、膠原病、多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、尿管・膀胱・尿道の炎症や結石・腫瘍、妊娠中毒症などでみられます。この他、ヘモグロビン尿症、ミオグロビン尿症、熱性タンパク尿症、アミロイド腎、金属中毒、低カリウム血症、糖尿病性糸球体腎症、腎静脈血栓症、うっ血性心不全などでも出現します。

血尿

Q1:血尿とは
A1:尿中に赤血球が以上に増加した状態をいいます。血尿には肉眼的血尿(目で見て赤色ないし茶褐色を呈する)、顕微鏡で見てわかる顕微鏡的血尿があります。また常に血尿が見られるものを持続的血尿、時々血尿が見られる場合を間歇的血尿と呼びます。

Q2:血尿の検査
A2:血尿の有無を簡易的に試験紙で判定する検査で、尿潜血反応と呼びます。この他、尿沈渣を顕微鏡で見て判定する方法もあります。

Q3:血尿をきたす病気
A3:血尿が見られる疾患には、腎・尿路の腫瘍、結石、感染症、嚢胞性腎疾患、腎細胞癌、尿路上皮癌(腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、尿道癌)、前立腺癌、外傷、血管異常、奇形、腎下垂などがあります。内科的疾患としては各種腎炎、Ig A腎症、腎動脈硬化症、高血圧性腎症、糖尿病性腎症などです。ワーファリン、カリウム、アスピリン、小児用バファリン、パナルジンなどの薬剤でも血尿がみられることがあります。

Q4:血尿以外で尿が赤色を呈する病態
A4:血尿とは異なるものとして、血色素尿(暗赤褐色)、ミオグロビン尿(暗赤褐色)、ポルフィリン尿(ブドウ酒様暗赤色)、ビリルビン尿(赤色~橙黄色)、薬物(赤色)、重金属、濃縮尿(膿赤褐色)などがあります。

血便

Q1:血便をきたす病気
A1:血便は、上部消化管および下部消化管からの出血です。上部消化管から出血した血液は胃液で酸化されるため、黒色になりますが、下部消化管では胃酸の影響を受けないので赤色の血便がみられます。食道・胃静脈瘤、食道炎・潰瘍、食道癌、マロリー・ワイス(Mallory-Weiss)症候群、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン(Crohn)病、大腸癌、大腸憩室、痔核が考えられます。

Q2:微量の血液が便に混じっているかどうかの検査
A2:目で見てわからない微量の血便の有無の検査は、便潜血反応を行います。便潜血反応が陽性の場合には、大腸X線検査または大腸内視鏡検査を行い調べます。便潜血反応が陽性となった患者の0.5%に大腸がんが見つかります。

Q3:血便がみられた時はどのような検査
A3:血便が確認された時には、赤血球数、ヘマトクリット、ヘモグロビン量、血小板数、白血球数、プロトロンビン時間、出血・凝固時間、血清電解質、肝機能検査、腎機能検査、アンモニアなどを調べます。出血がひどい場合には輸血を考えて、血液型判定、交差試験などを行います。内視鏡やX線検査で上部消化管および下部消化管の内部を観察し、必要であれば生検で組織を採取し検査します。

便秘

Q1:便秘の種類とその特徴
A1:便秘とは、食べ物を食べてから3日以上便が出ないときに便秘といいます。便秘は「機能性便秘」と「器質性便秘」の2種類があります。機能性便秘には、「弛緩性便秘」と「けいれん性便秘」があり、「弛緩性便秘」は年寄り、胃下垂、低血圧、虚弱体質の人に見られます。これは大腸のぜん動運動が弱いために起こり、食生活や運動不足などが原因です。「けいれん性便秘」と呼ばれるものは、精神的ストレスが原因で大腸のぜん動運動が強くなり、けいれんを起こします。一方、器質性便秘とは大腸がんや大腸ポリープ、子宮筋腫などの病気で腸管の内腔が狭くなるために起こります。

Q2:便秘の原因
A2:便秘の原因の大半は次のような生活習慣が原因で起こります。
1)朝食を抜く
2)栄養の偏り
3)水分摂取不足
4)トイレをがまんする習慣
5)運動不足  

Q3:便秘の治療法
A3:便秘の薬は、緩下剤として、1)塩類下剤(酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなど)、2)膨潤性下剤(カルメロースナトリウム、プランタゴ、オバタ種皮など)などがあります。
 刺激性下剤としては、1)小腸刺激性下剤(ヒマシ油、加香ヒマシなど)、2)大腸刺激性下剤(ラキソベロン、アローゼンなど) などがあります。

Q4:便秘の予防・改善する方法
A4:食生活や運動以外の生活面でも気をつけましょう。
1)規則正しい生活を心がける
2)便意があったら我慢しない
3)朝食後、必ずトイレに行く
4)睡眠をたっぷりとる
5)ストレスをためない
6)水分をとる(冷水あるいは牛乳を飲む)
7)運動する(腹筋運動、ウォーキング、水泳、ジョギング、ダンス、テニス、ヨガ)
8)腹部のマッサージをする
9)入浴も効果あり
10)肛門をトイレのシャワー水で刺激する
11)下剤を飲んだり、坐薬や浣腸によって排便を促す

Q5:便秘を改善する食事法
A5:食物繊維をたっぷり摂ることを心がけましょう。食物繊維は野菜や果物(例えば、たけのこ、ごぼう、海藻類、きのこ類、こんにゃくなど)に多く含まれます。果物に含まれる果糖と有機酸は、大腸を刺激して便意を起こさせます。

下痢

Q1:下痢の種類
A1:下痢には、急性下痢と慢性下痢があります。急性下痢には水様便、軟便・泥状便、粘血下痢便、血性下痢便の4種類があります。急性水様便の場合は細菌性大腸炎、ウイルス性大腸炎、抗生物質による大腸炎、憩室症などを考えます。急性軟便・泥状便の場合は偽膜性腸炎を考えます。急性粘血下痢便の場合は、偽膜性腸炎と潰瘍性大腸炎を疑います。急性血性下痢便の場合は、抗生物質による出血性大腸炎、虚血性大腸炎を考えます。
 慢性下痢の場合にも、水様便、軟便・泥状便、粘血下痢便、血性下痢便の4種類があります。慢性水様便の場合は、過敏性大腸炎、消化管アレルギー、内分泌腫瘍を疑います。慢性軟便・泥状便の場合は、クローン病、吸収不良症候群、蛋白露出性胃腸症、多発性小腸潰瘍、盲系蹄症候群などです。慢性粘血下痢便の場合は、潰瘍性大腸炎、アメーバ赤痢、腸結核などです。慢性血性下痢便の場合は、血管性病変および放射線照射性大腸炎が考えられます。

Q2:下痢の原因
A2:急性下痢の原因は大腸菌、赤痢菌、腸炎ビブリオ菌、ウイルスなどによっておこります。急性の大腸炎(感染性下痢)や、食べ過ぎや水・アルコールの飲み過ぎ、消化不良性下痢が原因となります。慢性下痢の原因は消化吸収障害、腸の慢性炎症、大腸粘膜の過敏、アレルギー性下痢などがあります。
Q3:下痢の対策
A3:急性下痢が激しいとき、体の水分が不足しますので補給します。下痢による脱水症状を防ぐために、緑茶やスープなど温かい水分を摂る事も必要です。下痢がおさまった後は、消化の良いおも湯やおかゆなどの流動食から始めるようにします。2~3日は、腸内細菌はまだ整っていないので油の強いもの、香辛料の強いもの、アルコールは避けます。下痢の予防には、食べ過ぎや飲み過ぎを避けるなど、日頃の食事に気を付ける事が必要です。

Q4:下痢の検査と診断
A4:下痢の便をスライドガラスに塗抹してグラム染色で菌の有無を確認します。更に便を培地に植えて発育した菌の種類を同定することにより原因菌を見つけます。

むくみ(浮腫)

Q1:むくみ(浮腫)とは
A1:むくみ(浮腫)とは、皮下組織に体液がたまっている状態をいいます。むくみ(浮腫)のある場合は皮膚を強く押すと凹んで、しばらくもとに戻りません。凹みの深さでむくみの程度を知ることができます。

Q2:むくみ(浮腫)を起こした場所から考えられる疾患
A2:むくみ(浮腫)は、全身性浮腫の場合と局所性浮腫の場合があります。局所性浮腫がみられる病気には、感染症、アレルギー性疾患(局所)、脳梗塞(麻痺のある手または足)、静脈炎・静脈血栓症(下肢)などがあり、静脈やリンパ管のうっ滞で起こります。さらに、上大静脈症候群(まぶたや頭部)、急性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群(まぶた)、甲状腺機能低下症(唇)、急性肝炎・肝硬変(おなか)、腎臓(すね)、血栓性静脈炎(下半身)なども局所性浮腫をおこします。この他、がんの手術後に現れるリンパ浮腫があり、手足が数倍にはれることがあります。
 全身性浮腫の場合は、2~3リットルの過剰な体液が皮下組織にたまります。全身性浮腫は心原性浮腫、肝性浮腫、腎性浮腫、内分泌性浮腫、栄養性浮腫、薬剤性浮腫などに分類され、月経前浮腫、貧血、腎臓、急激なダイエット、慢性心臓病、慢性腎臓病などでみられます。

Q3:むくみ(浮腫)の治療
A3:それぞれの原疾患の治療を行います。

Q4:むくみ(浮腫)の検査
A4:尿検査を行い、血尿、蛋白尿、尿沈渣で円柱の出現などを調べます。血液検査を行い、栄養状態、貧血、電解質、腎機能、肝機能などをチェックします。胸部X線検査で肺のうっ血や肺水腫の有無を確認します。この他、心電図検査、心臓・腹部超音波検査なども行います。

脱水

Q1:脱水とは
A1:脱水は、電解質異常、細胞内液と外液の移動、循環血液量減少により体の一部から水分が喪失した状態を言います。脱水には、高張性脱水と低張性脱水の2種類があります。

Q2:高張性脱水とは
A2:高張性脱水(高ナトリウム血症)は水欠乏ともいいます。原因としては、水の摂取不足、高度発汗、多尿などで起こります。口渇、乏尿、舌乾燥、衰弱感、血清ナトリウム値の上昇、精神障害などを起こします。高張性脱水には、まず、生理食塩液で細胞外液の不足を補正し、その後5%水ブドウ糖を投与します。

Q3:低張性脱水とは
A3:低張性脱水(低ナトリウム血症)は食塩欠乏ともいいます。起きる原因としては、水と電解質を失って、水だけが補充された状態で起きます。嘔吐、下痢、消化液喪失、アジソン病、慢性腎不全などです。口渇、倦怠感、立ちくらみ、乏尿などはひどくありません。嘔吐、ケイレン、低血圧、BUN(尿素窒素)上昇、血清ナトリウム値が低下なども起こります。低張性脱水には、生理食塩液を投与します。

胸水

Q1:胸水とは
A1:壁側及び臓側胸膜で囲まれた胸腔(胸膜腔)には、正常では20ml程度の液体が存在し潤滑液の役割を果たしていますが、その液量が異常に増加した状態を胸水貯留と呼びます。100ml以上あれば胸部X線検査で写ります。

Q2:胸水の外観から考えられる病気
A2:血性の胸水では悪性腫瘍、肺梗塞、肺外傷、自然気胸、準血性の胸水では炎症、うっ血性疾患、外傷、滲出性の胸水では細菌性肺炎、肺膿症、横隔膜下膿症、食道破裂、結核、膵炎、漏出性の胸水ではうっ血性心疾患、乳び性胸水では、悪性腫瘍・外傷、粘液性胸水では中皮腫を考えます。

腹水

Q1:腹水とは
A1:腹腔内に貯留した体液を腹水といいます。腹水の性状によって、滲出性の腹水、乳糜腹水、漏出性の腹水、血性腹水、粘液性腹水などに分けられます。この他、性状の違いにより漏出液(transudate)と滲出液(exudate)に分けます。漏出液の成因は機械的なもので、門脈圧の上昇、血漿膠質性浸透圧の低下、腎での排泄能の低下や再吸収亢進などによります。滲出液は腹膜の炎症やがんの腹膜転移などが原因でおこります。

Q2:腹水を起こす病気
A2:血性腹水では悪性腫瘍(肝細胞癌、癌性腹膜炎)、子宮外妊娠破裂、結核性腹膜炎、滲出性腹水では細菌性腹膜炎、膵炎、漏出性腹水では肝硬変、うっ血性心疾患、ネフローゼ症候群、乳び性腹水では悪性腫瘍、フィラリア症、外傷、粘液性腹水では中皮腫、腹膜偽粘液腫、胃・大腸膠様腺癌などを考えます。

Q3:腹水の検査
A3:腹水の鑑別には、腹水穿刺液の検査(比重、総蛋白、リバルタ反応、フィブリン、細胞分画)で漏出液か滲出液かを鑑別します。この他、腹水の血液検査(白血球数、赤血球数、血色素量、ヘマトクリット値)、腹水の生化学検査(LDH、総コレステロール、中性脂肪など)、腹水細胞診を行い原因を明らかにします。腹水培養(好気性菌、嫌気性菌、好酸菌)及びグラム染色により原因菌を証明します。胸部X線、腹部超音波検査、腹部単純X線検査、腹部CT検査などを行います。

心雑音

Q1:心雑音とそれから推定される疾患
A1:大きさ(Levineの分類)、最強点、時相(I音II音との関係)、性質、放散について調べます。心雑音は、収縮雑音、拡張期雑音、駆出性雑音、逆流性雑音などに分類されます。収縮中期駆出性雑音は大動脈弁狭窄症、肺動脈弁狭窄症、貧血、妊娠時、甲状腺機能亢進症、心房中隔欠損症、心内膜床欠損などで聴取されます。全収縮期逆流性雑音は僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症、心室中隔欠損症で聴取されます。拡張期逆流性雑音は大動脈弁閉鎖不全症、肺動脈弁閉鎖不全症で聴取されます。連続性雑音は動脈管開存症、大動脈肺動脈中隔欠損、Valsalva洞破裂などの動静脈短絡で聴取されます。小児では心房中隔欠損、動脈管開存などで雑音が聞こえます。

Q2:心雑音の診断
A2:医師が心雑音を聴診で確認します。心音図をとると、どのような種類の雑音か確定診断ができます。

不整脈

私が以前よく医者から診断されました。
Q1:不整脈とは
A1:不整脈は1)頻脈(脈が異常に早くなる)、2)徐脈(脈が異常に遅くなる)、3)期外収縮(時々脈が乱れて飛ぶ)の3つに分類されます。

Q2:頻脈とは
A2:頻脈は1分間100回以上の脈拍がある場合を頻脈と呼びます。発作性(上室性)頻拍症、心房粗動、心房細動、心室細動では脈拍が異常に早くなります。脈拍数により、頻拍は150~250回/分、粗動は300回/分、細動は400~500回/分に分けられます。

Q3:徐脈とは
A3:徐脈は1分間に50回以下の脈拍で、脈が遅く、目の前が暗くなる、手足が冷たい、失神するなどの症状を呈します。洞不全症候群、房室ブロック、脚ブロック、房室解離などでみられます。

Q4:期外収縮とは
A4:期外収縮は不整脈の中で一番多くみられます。脈が規則正しく打たず、瞬間的に脈が飛ぶ、脈が抜ける、瞬間的にドキッとするなどです。心臓に病気を持たない人の期外収縮は、過労、睡眠不足、飲酒などで起きやすく、生命への危険性はありません。期外収縮には、上室性期外収縮と心室性期外収縮があります。

Q5:不整脈の診断
A5:心電図、ホルター心電図(24時間心電図)、心超音波検査などで調べます。

Q6:不整脈の治療
A6:治療は抗不整脈薬(ジギタリスやジソピラミドなど)や心拍数調整剤を使用します。血栓が出来にくくする薬(ワーファリン、アスピリン、パナルジン)も予防に用いられます。心房細動の治療には薬物療法や手術が行われます。カテーテルアブレーション、MAZE手術、ラジアル手術、植え込み型除細動器などが選択されて使われます。心房細動では、アスピリン、パナルジン、ワーファリンの内服治療も行われます。

息切れ

Q1:息切れの原因
A1: 呼吸困難には「急性の息切れ」と「慢性の息切れ」があります。急性の息切れは、自然気胸、肺血栓塞栓症などで起きます。慢性の息切れは肺気腫、間質性肺炎、心不全などが原因となります。慢性の息切れが起こる原因は、年齢とともに横隔膜や肋間筋などの「呼吸筋」と呼ばれる筋肉が衰え、肺を伸縮する力が低下し、肺の弾力性も失われ、伸びやすく縮みにくい状態になるためです。肺活量も低下します。

Q2:息切れの程度
A2:息切れの程度を見るのに、フレッチャー・ヒュー・ジョーンズ (Fletcher-Hugh-Jones)の5段階の分類を用います。

 早歩きをしたり、階段や坂道を上ったときに息切れが起こる場合をII度の段階と考え病気を疑います。 III度以上になると、日常生活にも支障が出てきます。

I度:歩行、昇降も健常者なみにできる。
II度:坂、階段は健常者なみに歩行できない。
III度:平地でさえ健常者なみに歩けないが、自分のペースなら(1.6Km以上)歩ける。
IV度:休みながらでなければ(50m以上)歩けない。
V度:会話、衣服の着脱にも息切れがし外出できない。

Q3:息切れの検査
A3:息切れには、画像診断と肺機能検査が有効です。画像診断では、胸部X線検査、CT検査、MRI検査などを実施します。肺機能検査では、スパイロメーターを用い、肺活量や一秒率、一秒量などを調べます。心不全の疑いがあるときは心電図検査を行います。

せき(咳)

Q1:せき(咳)の種類とせきのでる病気
A1:せきの種類は急性、亜急性、慢性の3種類に分類されます。
 急性のせきの場合は、感冒、アレルギー性鼻炎、急性細菌性副鼻腔炎、急性気管支炎、急性気管支肺炎、大葉性肺炎、百日咳、マイコプラズマ感染、クラミジア感染症などです。亜急性のせきの場合は、マイコプラズマ肺炎、気管支喘息、過敏性肺炎などです。慢性のせきの場合は、気管支喘息、胃食道逆流、鼻ポリープ、慢性細菌性副鼻腔炎、肺化膿症、慢性気管支炎、好酸球性気管支炎、肺結核、肺がん、サルコイドーシス、左心不全(肺水腫)、誤嚥などがあります。
 この他、せきの性状によって、乾いたせきと湿ったせきの2種類に分けられます。乾いたせきは、たんを伴わない、コンコンという「からせき」で、感冒、急性咽頭炎、のどの痛み、急性気管支炎、急性肺炎、肺結核、肺がん、食道がん、大動脈瘤、気管支ぜんそく、ノイローゼ、ヒステリーなどの際にみられます。湿ったせきとは、たんを伴うせきで、感冒、気管支炎、気管支喘息、肺がんなどが考えられます。
Q2:たん(痰)の種類とたんのでる病気
A2:たんは、気道内の分泌物で健康な人で1日50~60ミリリットル出ていますが、気道から再吸収されて実際にはなにも出現しません。粘り気の少ないたんは、感冒、気管支炎、肺水腫にみられ、粘り気の多いたんは、感冒、気管支炎、咽頭炎、喉頭炎、気管支喘息にみられます。膿の混じったたんは、肺化膿症、肺結核、気管支拡張症、血の混じったたんは、肺結核、気管支拡張症、肺炎、肺がんなどでみられます。

Q3:せきやたんが出る時の検査
A3:たんが出る場合は、そのたんをスライドガラスに塗抹し、グラム染色(結核菌を見つける場合はチール・ネルセン染色)をして、顕微鏡で病原細菌を見つけます。さらに、たんを培養(通常1~3日、結核菌では1~8週間かかります)して菌を同定(確定)します。胸部X線検査、必要であればCTやMRIなどで画像診断をします。気管支鏡で気管支を調べて病気を発見できることもあります。

Q4:せきやたんの治療
A4:せき止めの薬のことを鎮咳薬と呼び、中枢性麻薬性鎮咳薬、中枢性非麻薬性鎮咳薬、生薬、末梢性鎮咳薬があります。たんを切るための薬を去痰薬と呼び、粘液溶解薬、粘液修復薬、粘液潤滑薬、気道分泌細胞正常化薬、酵素製剤、漢方薬などがあ

動悸

私が診断されたものです。
右心房の弁膜症でした。

Q1:動悸はどのような病気
A1:心臓の鼓動の不快な自覚を動悸(心悸亢進)と呼んでおります。患者さん自身は、脈がとぶ、胸が押さえられる、胸の中がけられる、心臓がどきんとする、心臓が一瞬止まるなどと訴えます。動悸には、心臓に原因のあるものと、心臓に原因のないものがあります。心臓に原因のあるものには、1)弁膜症 2)心不全 3)頻脈性不整脈(脈の速い場合として、発作性上室性頻拍、心房細動、心房粗動、心室頻拍、心室細動など) 4)除脈性不整脈(脈の遅い場合で、洞房ブロック、房室ブロック、洞徐脈など) 5)脈が普通の場合は心室性期外収縮、心房細動などがあります。心臓に原因がなく動悸がみられる場合は、1)貧血 2)高熱時 3)過労状態 4)甲状腺機能亢進症 5)呼吸器疾患 6)低血糖 7)薬物による副作用などです。

Q2:動悸の原因
A2:動悸の原因を知るうえでは、右手首を上に向け、左手の人差し指・中指・薬指の3本で、右手首の親指側の動脈に軽く触れ、1分間に何回脈が打っているか調べましょう。脈が速いか(頻脈)? 脈が遅いか(徐脈)? 脈に乱れがあるか(不整脈)? なども調べます。突然発作的に起きて脈拍数が150回を超えるようなら、発作性頻拍症の可能性があります。脈拍数が40回以下になると、徐脈と呼び、心臓内での電気信号の伝達経路がブロックされ、意識を失うことがあります。脈の乱れを伴うものを不整脈と呼びます。患者さんは脈がとぶ感じ、一瞬心臓が止まる感じを自覚します。

Q3:動悸の診断
A3:通常の心電図、ホルター心電図、負荷心電図検査、胸部X線検査、心臓超音波検査、内分泌学的検査、その他の血液検査などを行います。

関節痛

Q1:関節痛とは
A1:関節痛には、炎症性関節痛と非炎症性関節痛の2種類があります。炎症性関節痛は膠原病、脊椎関節炎、感染性関節炎、リウマチ熱、痛風、偽痛風などです。それに対して、非炎症性関節痛は、変形性関節疾患、無菌性骨壊死などです。スポーツによって起こる関節痛は半月板損傷や靭帯損傷などがあります。

Q2:関節痛の原因
A2:関節痛の原因には、軟骨の擦り減り、過度の運動・運動不足、老化、肥満、免疫異常などが考えられます。

Q3:関節痛を起こす疾患
A3:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、進行性全身性硬化症、混合性結合組織病、多発性筋炎・皮膚筋炎、多発動脈炎、シェーグレン症候群、強直性脊髄炎、ライター症候群、乾癬性関節炎、炎症性関節炎、リウマチ熱、若年性関節リウマチ、成人発症型スティル病、変形性関節症、感染性関節炎、ベーチェット病、痛風、偽痛風、神経病性関節症、血友病性関節症、骨粗鬆症などで関節痛が出現します。

嚥下障害

Q1:嚥下障害とはどのような病態
A1:嚥下障害とは、口腔から胃までの飲食物輸送が障害された場合をいいます。

Q2:嚥下障害を起す疾患
A2:嚥下障害を起す疾患には、食道癌、食道裂孔ヘルニア、食道アカラシア、進行性全身性硬化症(PSS)、球麻痺、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、多発性筋炎、高カルシウム血症、ボツリヌス中毒などがあります。

腰痛

Q1:腰痛
A1:人間は背骨が縦に配列しているため垂直方向に力がかかり、腰椎や周りの筋肉に大きな負担がかかります。背骨は小さな骨椎骨がつみ重なり、つなぎめには「椎間板」という軟骨組織があり、重力や衝撃を吸収する働きがあります。日常生活により腰椎と椎間板に大きな負担がかかるため腰痛が起こります。

Q2:腰痛の原因
A2:腰痛の原因は、悪い姿勢を続けたり、腰や背中の筋肉が緊張し続けたり、運動不足で腰を支える筋力が弱っている時、筋肉疲労などにより腰痛症が起こります。脊椎にある小さな関節の捻挫、筋膜の損傷、椎間板の亀裂などが原因でぎっくり腰(急性腰痛症)になります。椎間板にある随核が飛び出して神経を圧迫すると椎間板ヘルニアになります。この他、高齢者では、変形性脊椎症や脊柱管狭窄症、骨粗しょう症などが原因で腰痛が起こります。

Q3:腰痛の治療法
A3:首と足を引っぱって腰椎や骨盤を牽引し、筋肉の緊張除去、筋肉の安静にさせると、腰痛症、椎間板ヘルニア、骨粗しょう症などに効果があります。コルセットで腰の固定と補強をはかる装具療法があります。腰を温める温熱療法があります。局所麻酔剤を患部の神経に注入して麻痺させ、痛みを抑える神経ブロック法も有効です。腰椎の配列を正しくする運動と筋力を強化する運動療法があります。消炎鎮痛剤、筋弛緩剤を投与することもあります。消炎鎮痛剤としては、ロキソニン、ミオナール、座薬としては、レクトス注腸軟膏、ボルタレン座薬があります。貼付薬としては、アドフィード、セルタッチ、セラスターなどが使用されます。この他、筋弛緩剤、ビタミンB1、B12、Eなどの薬剤、牽引療法、ホットパック、コルセットの着用、腰痛体操などを組み合わせて治療します。

Q4:腰痛の予防法
A4:座る時は腰に負担のかからない正座にして、あぐらは避けましょう。椅子に座るときは、深く腰かけましょう。寝る時は横向きになり、ひざを抱えるたり、仰向けでひざの下に枕を入れると楽になります。腰痛体操をして、腰の筋力を強化、腰椎の前湾や骨盤の前傾の矯正しましょう。

胸痛

Q1:胸痛を起こす病気
A1:急性心筋梗塞、狭心症、急性心膜炎、解離性大動脈瘤、自然気胸、肺塞栓症、肺梗塞、肺炎、胸膜炎、不整脈、過換気症候群、心臓神経症、食道炎、食道痙攣、消化性潰瘍、帯状疱疹、肋骨骨折、肋軟骨炎、肋間神経痛などです。

Q2:胸痛の種類
A2:胸痛はそれぞれの病気により特徴が異なります。急性心筋梗塞では30分以上続く左前胸部または胸骨中央部の激しい絞扼感、圧迫感を伴う激痛で、顎、左肩、左腕に放散することが多いです。狭心症も心筋梗塞と同じような発作性の左前胸部痛、または胸骨中央部の絞扼感、圧迫感を伴う激痛ですが、胸痛を起こしている時間は2~3分と短く、亜硝酸剤(ニトログリセリン錠)が著効するので急性心筋梗塞とは違います。解離性大動脈瘤では、激烈な胸痛、背部痛、心窩部痛が急激に発生し長時間持続、解離の進展に伴い疼痛部位が移動するのが特徴です。自然気胸では、呼吸困難を伴う突然の一側性の胸痛です。

Q3:胸痛の際の検査
A3:胸部X線検査と心電図検査(心筋梗塞の時は一過性のST上昇・下降、T波平低化や陰性化)が重要です。血液検査、バイタルサインのチェック(血圧、脈拍、呼吸、意識、体温)、ショック症状の有無、心不全の有無、血圧異常の有無、脈拍異常の有無、胸部所見、腹部所見なども調べます

腹痛

Q1:腹痛の程度と病気の関係
A1:うんうんうなって我慢できないほどの痛みと、お腹がカチカチ、パンパンに張っている場合を特別に急性腹症と呼び、重症な病気として扱います。例えば、急性虫垂炎、腸重積、腸捻転、卵巣や睾丸捻転、ヘルニアの嵌頓、穿孔性潰瘍、急性膵炎、大動脈瘤破裂、腹膜炎、子宮外妊娠の破裂、絞扼性腸閉塞、胆石、腎結石などです。すぐ治療を開始しなければなりません。嘔吐、下痢、発熱、腹痛などの症状がそろっている場合は、サルモネラ、キャンピロバクタ、病原性大腸菌などの細菌性腸炎の可能性を疑います。熱がない場合はウイルス性腸炎である可能性を考えます。発熱を伴うなら、急性虫垂炎の可能性、血便を伴うなら、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、メッケル憩室炎などを疑います。

Q2:腹痛と食事との関係
A2:食前に痛むなら胃・十二指腸潰瘍、食後に痛むなら食物アレルギー、胆嚢炎、膵炎などの可能性があります。生ものなどを食べた後から腹痛が始まれば、食中毒の可能性があります。

Q3:腹痛の場所と病気との関係
A3:お腹のどの部分が痛むのかは重要な情報です。右下腹部痛で急性虫垂炎、右上腹部痛で胆石、胆嚢炎、肝炎、上腹部痛では胃炎、胃・十二指腸潰瘍を考えます。腰背部痛では尿路結石、水腎症、膵臓癌などを疑います。おへそのまわりの腹痛は、重症の病気であることはまれです。

Q4:腹痛の検査
A4:急性虫垂炎や細菌性腸炎を疑った場合には、血液中の白血球数やCRP、血沈などの炎症反応を調べます。細菌性胃腸炎の疑いがあれば、便中の細菌を見つけるため、便を培養します。血液検査で肝臓、胆嚢、膵臓の状態を調べます。急性膵炎では、血液・尿中のアミラーゼやリパーゼなどの酵素を調べると増加しています。腸閉塞や尿路結石を疑う場合は、腹部のレントゲン写真をとって、腸内のガスの分布や尿路の石の有無を確認します。胃や腸を内視鏡で覗いたり、腹部のX線検査やCT検査をすることもあります。

Q5:腹痛の治療
A5:患者さんの腹痛を除去し、腹痛をきたすもとの疾患の治療をするのが目標です。コリオパン、ブスコパン、ペンタジン、レペタン、MSコンチンなどを重症度に応じ用います。

かゆみ

Q1:かゆみの原因
A1:かゆみは、皮膚の乾燥、湿疹、じんま疹、虫刺され、薬疹、腎臓病、黄疸、糖尿病、膠原病、高齢、温熱寒冷刺激などいろいろな原因で生じます。

Q2:かゆみの対処法
A2:かゆみのある個所をかかないように注意しましょう。かくと悪循環を繰り返し、皮膚が傷つき感染をおこすこともあります。皮膚は暑くなると毛細血管が拡張し、かゆみが増強するので室温を24~26度、湿度は40~60%にしましょう。かゆみ止めとして、オイラックス、オイラックスH、グリパスCなどの軟膏、アトピー性皮膚炎にプロトピック(軟膏)が使用されます。抗アレルギー薬を服用することもあります。

貧血

Q1:健常人の赤血球成分の基準値と貧血の関係
A1:赤血球成分の基準値は私達の病院では次のようになりますが、他の病院では少し異なる場合があります。赤血球数は、成人男性では450万~530万/μl(パーマイクロリットル)、成人女性では400万~480万/μlです。ヘマトクリット値は、男性が40~50%(パーセント)、女性が35~45%、ヘモグロビン量は、男性では14~18g(グラム)、女性では12~16gです。

Q2:貧血の診断
A2:赤血球中のヘモグロビン濃度、赤血球数、ヘマトクリット値が減少すると、体中に運搬される酸素の量やブドウ糖などの栄養分の供給が減って、貧血になります。医学的に貧血と診断する場合は種々の指標を総合的にみて判断します。この他、赤血球の形や色でも診断できます。
 ここではわかりやすく、血液中のヘモグロビンで判定したいと思います。貧血とは色々な原因によって血液中のヘモグロビン濃度が減少した状態をいい、男性では14g/dl未満、女性では12g/dl未満の場合を言います。
 男性でヘモグロビン濃度が11~14g/dl未満の場合に軽度貧血、8~11g/dl未満の場合に中等度貧血、8g/dl未満の場合に高度貧血と考えます。女性では10~12g/dl未満の場合に軽度貧血、7~10g/dlの場合に中等度貧血、7g/dl未満の場合に高度貧血と考えます。
Q3:貧血はどのように分類し、どのような症状がありますか?
A3:貧血にたくさんの種類がありますが、主な貧血としては鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血などです。貧血の一般的症状としては、身体内で酸欠状態になることによって現われる、全身倦怠感、無力感、頭重感、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、眼球結膜や顔色の蒼白などがみられます。(貧血の分類の詳細はこちら)

Q4:鉄欠乏性貧血
A4:健康な成人の身体の中には総量5000mg程度の鉄があり、その半分が赤血球に含まれ、残りは肝臓や脾臓や骨髄に貯えられています。鉄欠乏貧血は、全貧血の80~90%を占める多い疾患です。男:女比は1:5~6で、女性に多い病気です。鉄欠乏性貧血の原因は偏食、消化機能の低下による鉄分摂取不足、発育・成長・妊娠・出産・授乳などによる鉄需要の増大、月経多過・病的出血などによる鉄排泄の増加などです。鉄欠乏性貧血の場合は、小赤球性低色素性貧血とも呼ばれ、赤血球が小さく薄くなると共に、ヘモグロビン量も少なくなるので低色素になります。一般的な貧血症状以外に、舌炎、食道の異常感、嚥下痛、割れやすい爪、外側に反り返る変形した爪などの症状がみられます。このような患者さんは血液中の鉄濃度が減少しております。

Q5:再生不良性貧血とは
A5:再生不良性貧血の場合は赤血球を作る骨髄が障害を受けたり、赤血球が十分に作られなくなったために起る貧血で、白血球数や血小板の数も著しく減少する重症な病気で完治が難しいのです。再生不良性貧血の症状としては白血球減少による感染・発熱、血小板減少による出血などがみられます。

Q6:溶血性貧血とは
A6:一般的な貧血症状以外に、血尿や黄疸がみられます。溶血性貧血の場合は赤血球の寿命(120日)が極端に短くなり、脾臓で赤血球が壊され溶血します。溶血性貧血には免疫性溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血、常温型溶血性貧血、寒冷凝集素症、発作性寒冷血色素尿症、発作性夜間血色素尿症、赤血球膜異常、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、赤血球酵素異常、ヘモグロビン異常症、サラセミアなどめずらしい病気が含まれております。

Q7:巨赤芽球性貧血とは
A7:巨赤芽球性貧血をおこすのは、ビタミンB12欠乏性貧血や葉酸欠乏性貧血の場合で、赤血球を作るのに必要なビタミンB12や葉酸が欠乏したために起る貧血です。巨赤芽球性貧血、胃切除後性貧血、悪性貧血とも言われます。巨赤芽球性貧血の症状としては舌炎、知覚障害などがみられます。治療法としては注射でビタミンB12や葉酸を投与します。

Q8:続発性貧血とは
A8:基礎疾患として病気があるために起った貧血を続発性貧血と呼びます。すなわち、癌、リウマチ疾患、寄生虫疾患、心臓病、肺疾患、腎臓病、肝臓病などに伴って起る貧血です。妊娠によって起る貧血もこれに含まれます。急性失血性貧血では、大ケガをしたり、手術をして、大量出血した場合に一時的に赤血球を失う場合です。慢性失血性貧血では、胃潰瘍、痔、月経過多などで、長時間に少しずつ出血しておこる貧血です。

Q9:貧血によい食品
A9:貧血を治療するためには食事と薬物の投与です。レバーに鉄が多く含まれています。他に鉄分が多いのは、牛や豚の赤身肉、マグロ、カツオ、あさり、しじみ、ひじきなどの海藻類、ホウレンソウなどの緑黄色野菜、豆腐などの大豆製品です。

口臭

Q1:口臭の原因は、どのようなものがありますか?
A1:口臭の原因には大きくわけて2つあり、1つは「口からの口臭」、もう1つは「腸からの口臭」です。
 口からの口臭の原因は、1) 食べ物のカスから発生する口臭、2) 舌苔、3)歯周病・歯肉炎による口臭、4) 口内炎、5) 口内乾燥などの場合です。
 腸からの口臭の原因は、便秘や消化不良で腸内のビフィズス菌が減って悪玉菌が増えるためです。メチルメルカプタン、ジメチルサルファイ、アンモニア、インドール、スカトール、タール(タバコ)などが悪臭の原因となります。重症糖尿病ではアセトンの臭いがします。
Q2:口臭の検査は、どのように行いますか?
A2:口臭測定器(ハリメータ)で測定します。
Q3:口臭の予防・対策は、どのように行いますか?
A3:口内、舌、歯を清潔にする、唾液の増量などが口臭予防に重要です。食後には口を洗浄し、歯を磨き、舌の清掃を習慣付けましょう。ガム、梅干、レモンなどで唾液の量を増やすと口臭が予防できます。
 食生活の乱れなどにより腸内のバランスが悪くなると口臭の原因となります。朝食を食べない、よくかまない、口を開けて寝る、ストレスがある、虫歯がある、歯周病・歯肉炎がある、便秘症であるなどの場合には、口臭が起こりやすいので注意しましょう。

食欲不振

Q1:食欲不振とはどのような病態ですか?
A1:食欲不振は、心配事、不安などの精神的疲労および肉体的疲労などで起こります。食欲不振が長期間続くような場合には検査が必要です。まず、消化管の検査としては胃X線検査、胃内視鏡検査、便潜血反応などを行います。この他、日本人に多い肺がんの検査として胸部X線検査を実施しておくのがよいでしょう。
Q2:食欲不振を起こす疾患は何でしょうか?
A2:食欲不振を起こす疾患は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃炎・胃がん・食道炎・食道がん、大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸がん、肝炎、肝硬変、肝がんなどの消化器系の病気です。心不全でジギタリス中毒の場合にも食欲不振が認められます。

血痰・喀血

Q1:血痰・喀血とは何ですか?
A1:血痰(けったん)と喀血(かっけつ)の違いは、痰の中の血液量の違いによります。血痰は痰に血液が混じっているという程度の軽いものをいい、喀血は大量の血液が出てきたものです。言い換えますと、気管や気管支の粘膜が傷ついたり、肺が破壊されたりして出血した血液が、痰とともに出てきたものです。血痰や喀血の原因としては、セキ刺激、気管支の粘膜病変、気管支粘膜の萎縮や炎症、異物による出てきた刺激や損傷、肺の損傷などが原因です。
Q2:血痰・喀血をきたす病気にはどのようなものがありますか?
A2:血痰・喀血をきたす頻度の高い疾患としては、気管支拡張症、副鼻腔炎、肺結核、肺癌などです。この他、肺炎、肺化膿症、うっ血性心不全、肺真菌症、肺塞栓症、胸部外傷、気道異物、喉頭癌、出血性血液疾患なども考慮すべきです。
Q3:血痰・喀血と消化管出血との鑑別はどうするのですか?
A3:胃や食道などの消化管出血は吐血(とけつ)と呼ばれます。喀血の場合は、泡状でアルカリ性の赤い血が混じっていることが多いのに対し、吐血は吐いたものの中に胃内容物が混じるため、胃酸で酸化されて血液の色が黒っぽくなります。
Q4:血痰・喀血の検査はどのように行いますか?
A4:病歴、胸部X線、喀痰検査、気管支鏡検査、胸部CTなどで診断が比較的容易につきます。肺塞栓を疑う時は、肺血流シンチや肺血管造影を考えます。
Q5:血痰・喀血の治療はどのように行いますか?
A5:出血の原因と原因疾患を発見して対応します。

肥満

Q1:わが国では肥満症はどのくらいみられますか?
A1:1999年の国民栄養調査によると、15歳以上の肥満者は、男性で25.1%、女性で20.6%でした。肥満者の数は約2300万人で、男性は1300万人、女性1000万人です。
Q2:肥満症はどういう状態をさすのですか?
A2:身体の内臓や皮膚の下に余分な脂肪が多くついて体重が増加している状態をいいます。原因は栄養のとりすぎと運動不足です。
Q3:ボディ・マス・インデックス(BMI)とはなんですか?
A3:肥満症か否かを調べるために世界的に利用されています。ボディ・マス・インデックス(Body Mass Index:BMI)は計算して求めます。BMIの求め方は、BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)の式で求めます。正常範囲は22~24です。日本肥満学会の定義では、BMIが25以上を肥満症と判定しています。
 BMIによる判定は次のようになります。
   18.5以下   やせ
   18.5~24.9  正常
   25.0~29.9  軽度肥満
   30.0~34.9  中等度肥満
   35.0~39.9  高度肥満
   40.0以上   超高度肥満
Q4:肥満の目安はなんですか?
A4:BMIだけでは肥満を正確に診断できません。体脂肪率を調べて男性で20%以上、女性で30%以上の場合は肥満と判定します。
Q5:内臓脂肪型肥満症は医学的にはどのようにして診断されますか?
A5:ウエストが男性で85cm以上、女性で90cm以上であれば腹部CTスキャン検査を行い画像診断をします。内臓脂肪(おへそ回り)の断面積が100cm 2以上であれば内臓脂肪型肥満と診断します。
内臓脂肪型肥満になると糖尿病、高血圧、高脂血症、脳卒中、心筋梗塞などにかかりやすくなります。
Q6:肥満症に合併する病気はどのようなものがありますか?
A6:糖尿病、高脂血症、脂肪肝、痛風、高血圧、動脈硬化症、心臓病、脳血管障害、睡眠時無呼吸症候群、膝関節症、胆石、月経異常などです。
Q7:肥満症の治療法はどうすればよいのでしょうか?
A7:食事療法、運動療法、心理療法が基本です。摂取エネルギー量を段階的に減らすことが必要です。脂肪や炭水化物をとり過ぎないようにして、野菜は1日300gを摂取しましょう。有酸素運動で脂肪を燃焼させることが必要です。この他、薬物療法や外科治療法もあります。わが国での薬物療法は食事療法、運動療法で効果が不十分な高度肥満患者(BMI:35以上)の場合に、食欲抑制剤マジンドールが保険適応(1992年)になっております。
 米国では、肥満症患者の1%に外科治療法として胃切除が実施され、効果をあげております。胃切除すると12~15ヵ月間は減量し、その後、体重は一定となります。最近では腹腔鏡下手術により、胃を縮小するバイパス手術が行われるようになりました。しかし手術をすると、手術部感染、創傷部ヘルニア、横隔膜下膿瘍、胃液のもれ、肺炎、無気肺、腹膜炎などの副作用があります。

不眠

Q1:不眠にはどのような種類がありますか?
A1:不眠には大きくわけて「入眠障害」、「熟眠障害」、「中途覚醒」、「早朝覚醒」と4つのタイプがあります。またこれらのタイプが混在した人もおります。
1.入眠障害:床に入ってから寝つくまで1時間以上かかり、寝つきの悪いタイプです。寝付けさえすれば後はよく眠れ、目覚めも比較的良いタイプです。
2.熟眠障害:眠りが浅く、睡眠時間の割にはよく眠ったという満足感が少ないです。悪夢をよく見ます。
3.中途覚醒:寝付きはよいのですが、睡眠が浅く、睡眠の途中で何回も目が覚め、熟睡できないタイプです。
4.早朝覚醒:寝付きは良くても夜明け前から覚めてしまい、朝まで再入眠できないタイプです。目が覚めたとき、何となく憂うつです。
Q2:不眠の原因にはどのようなものがありますか?
A2:不眠の原因ですが身体的なもの(疼痛、発熱、頻尿、下痢、いびき)、生理的なもの(環境変化、時差、交代制勤務)、心理・精神医学的なもの(ストレス・失恋、失業、不安緊張、うつ病、アルコール依存)、薬の副作用によるものなどが考えられます。
Q3:どれ位の人が不眠にかかっているのですか?
A3:先進国では不眠を訴える人は多いです。アメリカでは人口の3人に1人、イギリスでは4人に1人、ドイツ、フランス、日本では5人に1人が何らかの不眠に悩まされています。
Q4:不眠はどうすればよいですか?
A4:不眠も一過性あるいは短期間のものであれば放置しておいても、特に問題はありません。長期化したものは、不眠症としてしっかりと認識し精神科、心療内科の専門医に相談するとよいでしょう。長期化する不眠の原因としては心理的、精神医学的な不眠が多く、カウンセリングや精神安定剤を必要とします。睡眠薬も用います。
Q5:不眠の時に睡眠薬を飲み続けると中毒になりますか?
A5:睡眠薬は中毒になるという心配をする人がおりますが、医師の指示通りに服用する限り、心配はありません。睡眠薬は寝たいと思う時間の30分前くらいに服用します。ハルシオン等の超短時間作用型の睡眠薬を正しく服用すれば快適な睡眠が得られ、翌朝もすっきりと起きることが出来ます。睡眠薬にもいろいろのタイプがあり、強力なものから弱いものや、長時間型、中間型、短時間型、超短時間型に分類されております。不眠の型、原因、程度に合わせて処方されます。眠れるようになったら専門医の指示に従って徐々に減らして行くことが大切です。

黄疸

Q1:黄疸はどのように判定しますか?
A1:黄疸は血清ビリルビンの値で判定します。基準値は血清総ビリルビンが1.0mg/dl以下(その内訳は抱合型ビリルビンが0.2mg/dl以下、非抱合型ビリルビンが0.8mg/dl以下)です。血清総ビリルビンが2mg/dl以上になると、身体(眼球結膜、顔面、手など)が黄色になっているのが、他人または自分で確認できます。
Q2:黄疸の種類にはどのようなものがありますか?
A2:溶血性黄疸、肝細胞性黄疸、閉塞性黄疸、体質性黄疸などがあります。溶血性黄疸では非抱合型ビリルビンが増加し、肝細胞性黄疸では抱合型ビリルビンが増加し、閉塞性黄疸では抱合型ビリルビンが増加し、体質性黄疸のうちギルバート(Gilbert)症候群とクリグラー・ナジャール(Crigler-Najjar)症候群では非抱合型ビリルビンが増加し、ドユビン・ジョンソン(Dubin-Johnson)症候群とローター(Rotor)症候群では抱合型ビリルビンが増加します。
Q3:黄疸を起こすのはどのような病気ですか?
A3:溶血性黄疸を起こすのは溶血性貧血、肝細胞性黄疸を起こすのは急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変が考えられます。閉塞性黄疸は胆道系の機械的閉塞を起こす総胆管結石、胆道癌、膵頭部癌などで起こります。この他、体質性黄疸には、ギルバート(Gilbert)症候群、クリグラー・ナジャール(Crigler-Najjar)症候群、ドユビン・ジョンソン(Dubin-Johnson)症候群、ローター(Rotor)症候群などがあります。

血圧

Q1:血圧(最高血圧、最低血圧)とは何ですか?
A1:血圧とは、血液が血管の中を流れる時に、血管の壁を押し広げていく圧力のことをいいます。血圧には2種類あり、心臓が収縮する時の圧力を最高血圧(収縮期血圧)と呼び、心臓に拡張する時の圧力を最低血圧(拡張期血圧)と呼びます。
Q2:血圧はどのように変動するのですか?
A2:血圧は、血圧が正常であっても高血圧であっても1日の中で刻々変化し上下します。これを日内変動といいます。血圧は朝起きて活動すると上昇し、午前11時頃最も高くなり、その後徐々に下降します。睡眠中が最も低く、午前2時頃に最も低くなり、午前5時頃から徐々に上昇します。ストレス、感情の高ぶり、食事、排便、急激な運動、肉体労働などによっても一時的に高血圧になります。
Q3:血圧の正しい測定法はどのようにしますか?
A3:血圧測定の前には約5~10分位は安静にしてから測定します。
Q4:市販の家庭血圧計を使用する際にはどのような注意をしたらよいですか?
A4:市販の家庭血圧計にはマイクロフォンを内蔵し、コロトロフ音法による装置のものと、カフ内圧の振動の変化を測定する振動法があります。コロトロフ音法ではマイクロフォンの位置が上腕動脈の上にないと血圧測定値は不正確になります。振動法では上腕を揺らすと不正確になります。

チアノーゼ

Q1:チアノーゼとはどのような病態ですか?
A1:体表部の毛細血管静脈叢で還元ヘモグロビン量が増加することによって、皮膚が青みかがった紫色になることをチアノーゼと呼びます。口唇、耳たぶ、爪、指先などが青紫色に見え、動脈血が低酸素血症であることをあらわしています。酸素と結合していないヘモグロビンの量(還元ヘモグロビン)が5g以上になると出現します。
Q2:チアノーゼはどのような病気で見られますか?
A2:左右シャントがある先天性心疾患で低酸素血症を起こす場合に見られます。この他、急性肺疾患、慢性肺疾患、赤血球増加症、異常ヘモグロビン血症、末梢動脈血障害、心拍出量低下をきたす疾患などでもみられます。

ショック

Q1:ショックとはどのような病態ですか?
A1:血圧の急激降下、脈拍増、冷汗の出現、呼吸異常、意識障害などの状態をいいます。
Q2:ショックにはどんな種類がありますか?
A2:ショックには、出血性ショック、神経原性ショック、心原性ショック、感染性ショック、アナフィラキシーショック、熱傷性ショック、脱水ショックなどに分類されます。出血性ショックには怪我などの大量出血、胃・腸からの大量出血、火傷、下痢・嘔吐などにより体液喪失、水分摂取不足などでみられます。心原性ショックは、心筋梗塞、致死的不整脈、大動脈瘤破裂、心タンポナーデなどで見られます。敗血症性ショックにはグラム陰性菌による感染で多くみられます。またピリン系の痛み止めの薬やかぜ薬、抗生物質などの薬物によるショックがあります。糖尿病による低血糖性ショックは、薬が強すぎるか薬を服用したあと長時間食事をしないときに起こります。

悪心・嘔吐

Q1:悪心・嘔吐を起こす病気は何ですか?
A1:悪心・嘔吐は、主として消化器疾患で起こることが多いのですが、それ以外の疾患でも起こる場合もあります。急性虫垂炎、急性腹膜炎、腸閉塞、急性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、慢性膵炎、急性ウイルス性肝炎、緑内障、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、脳出血、くも膜下出血、くすりによる副作用などです。
Q2:悪心・嘔吐の治療はどのように行いますか?
A2:悪心・嘔吐の改善、悪心・嘔吐で生じた全身状態の異常を改善、悪心・嘔吐の原因除去などを目的に治療します。薬剤としてはナウゼリン、ノバミン、プリンペラン、ガスターなどの中から選択して処方します。

めまい

Q1:めまいとはどんな病気ですか?
A1:めまいは「目眩・眩暈:目がまわること、目がくらむこと、げんうん」などと定義されています。めまいは主として耳と脳の病気で起こります。耳の内耳にある耳石器・三半規管の働きが障害されると、自分の頭や身体が回転したように感じます。
Q2:めまいの検査はどのようにしますか?
A2:めまいの原因となる病気が内耳にあるのか、脳にあるのかを検査します。目が左右に激しく動く(眼振の検査)、体のバランス(体平衡の検査)が乱れているかどうかの検査、聴力検査や耳に注水して人工的に三半規管を刺激する検査(温度刺激検査)などを行います。脳の検査としては目の動きの検査(ENG検査)や画像検査(CT検査、MRI検査)などで検査します。めまいの時には、耳鼻咽喉科、神経内科、脳外科などを受診しましょう。
Q3:めまいを起こす病気にはどのようなものがありますか?
A3:血圧の上昇・下降、不整脈などの循環器病、脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞などの虚血性心疾患、糖尿病などで、めまいを起こす場合があります。メニエール病という内耳性めまいも起こります。夜更かし、暴飲暴食、大量喫煙、過労、睡眠不足、職場での対人関係ストレス、自律神経失調症、更年期障害、高血圧症、低血圧、貧血、アレルギー体質、糖尿病、高脂血症、心臓病などが原因でめまいが起こります。

耳鳴り

Q1:耳鳴りとはどのような状態ですか?
A1:耳または頭の中で音が聞こえるような症状を「耳鳴り」と呼んでいます。耳鳴りでは鼓膜などに異常がないのに、決まった音色の音が片耳(時に両耳)で鳴ります。耳鳴りと同時に難聴や眩暈、そして頭痛や吐き気を伴う事があります。人口の10~20%の人が耳鳴りを感じているといわれています。
Q2:耳鳴りとはどのような病気で起こりますか?
A2:内耳性難聴、突発性難聴、メニエール病などで起こります。原因としては内耳の損傷、炎症、腫張、水腫などにより起こる他、聴神経腫瘍、脳腫瘍、脳動脈硬化、動脈瘤、頚椎の異常(頚椎の歪み、ムチウチ、頚椎の圧迫)、心身症などでも起こります。
Q3:耳鳴りの治療はどのように行いますか?
A3:医療用遠赤外線療法では耳の周囲の血行を促進する事で耳鳴りを改善させます。ステロイドホルモンの治療で改善することもあります。耳鳴りが気にならないよう補聴器に似た機械で、ザーといった4種類の音で訓練するKRT(耳鳴り順応療法)がわが国でも近年導入されており、耳鳴りの苦痛が軽減されるようです。耳の穴に薬を入れて弱い電流を流すイオン浸透法もあります。

頭痛

Q1:頭痛にはどのような種類がありますか?
A1:頭痛には、器質性疾患のない頭痛(頭痛をおこすような病気を持っていない人におこる頭痛)と器質性疾患のある頭痛(他に病気を持っているためにおこる頭痛)の2種類があります。器質性疾患のない頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。器質性疾患のある頭痛には頭部外傷、脳腫瘍、血管障害、頭外内疾患、薬物、頭部以外の感染症、代謝性疾患、目・鼻・歯などの病変、頭部神経痛などがあります。
Q2:片頭痛にはどのような特徴がありますか?
A2:頭痛発作をくり返す慢性頭痛で、女性に多くみられます。原因としては、神経血管説が有力です。人口の約8%にみられます。片頭痛には、前兆がある場合とない場合があります。前兆がある場合には引き金になる誘因を避けるようにします。即ちストレス、アルコール・アイスクリーム、経口避妊薬・ホルモン剤を避けましょう。治療薬としては麦角アルカロイド、カルシウム拮抗薬、トリプタン系薬剤を使用します。
Q3:緊張型頭痛にはどのような特徴がありますか?
A3:緊張型頭痛とは日本人に多い頭頸部の筋緊張が亢進するためにおこる頭痛です。人間関係などの心理的なストレス、物理的なストレスで起こります。中高年に多くみられます。自分のストレスを取り除くことが重要です。治療法としては、運動療法、消炎鎮痛薬、精神安定剤、筋弛緩薬、循環改善薬などを使用します。
Q4:群発頭痛とはどのような特徴がありますか?
A4:群発頭痛とは、夜間から早朝に数週間にわたり1~2時間続きます。一側の前頭部、眼部を中心とした激痛です。20~30代の男性に多く起こります。群発頭痛は、飲酒すると誘発されるため、頭痛の期間中は禁酒です。治療薬としては副腎皮質ホルモン(ステロイド)、エルゴタミン製剤を投与します。高濃度の酸素吸入治療が有効の場合もあります。

発熱

Q1:発熱は、どのような時に起こるのでしょうか?
A1:発熱には外因性発熱と内因性発熱の2種類があります。外因性発熱はウイルス、細菌、毒素、薬剤、不適合輸血成分、免疫複合体、各種炎症、腫瘍などによって起こった場合をいいます。これに対して内因性発熱はインターフェロン、インターロイキンI、インターロイキンVI、腫瘍壊死因子などによって起こされます。
Q2:発熱がある場合は、どのような病気を考えたらよいでしょうか?
A2:小児では、ウイルスや細菌による感染症、日射病、熱射病、風邪、インフルエンザ、口内炎、ヘルバンギナー、扁桃腺炎、中耳炎、尿路感染症、リウマチ熱、悪性腫瘍、などです。成人では、急性胆のう炎、急性肝炎、胆石症、急性すい炎、急性虫垂炎、腎盂腎炎、肺結核、急性気管支炎、気管支拡張症、風邪、肺炎、急性上気道炎、インフルエンザなどです。
Q3:発熱で特徴のある熱型には、どのようなものがありますか?
A3:下記の熱型があります。

【間欠熱】
  高熱期と無熱期の日差が1℃以上で最低体温が37℃以下に下がった場合で、ウイルス感染症、マラリア、回帰熱、尿路感染症などで見られます。

【稽留熱】
  日差が1℃以上の高熱が持続するもので、大葉性肺炎、髄膜炎、腸チフス、粟粒結核などで見られます。

【弛張型】
  体温の日差が1℃以上ありますが、最低体温が37℃以下に下がらないものをいい、敗血症、マイコプラズマ肺炎、ウイルス性急性感染症、膿瘍などで見られます。

【波状熱】
  有熱期と無熱期が不規則に交互に現れるものでホジキン病、ブルセラ症などで見られます。

【周期熱】
  規則的な周期をもって発熱が繰り返されるもので、3日熱マラリア、4日熱マラリアなどがあります。

【二峰性発熱】
  熱が二峰性に出てくるタイプで、麻疹やデング熱などで見られます。