Q1:健常人の赤血球成分の基準値と貧血の関係
A1:赤血球成分の基準値は私達の病院では次のようになりますが、他の病院では少し異なる場合があります。赤血球数は、成人男性では450万~530万/μl(パーマイクロリットル)、成人女性では400万~480万/μlです。ヘマトクリット値は、男性が40~50%(パーセント)、女性が35~45%、ヘモグロビン量は、男性では14~18g(グラム)、女性では12~16gです。
Q2:貧血の診断
A2:赤血球中のヘモグロビン濃度、赤血球数、ヘマトクリット値が減少すると、体中に運搬される酸素の量やブドウ糖などの栄養分の供給が減って、貧血になります。医学的に貧血と診断する場合は種々の指標を総合的にみて判断します。この他、赤血球の形や色でも診断できます。
ここではわかりやすく、血液中のヘモグロビンで判定したいと思います。貧血とは色々な原因によって血液中のヘモグロビン濃度が減少した状態をいい、男性では14g/dl未満、女性では12g/dl未満の場合を言います。
男性でヘモグロビン濃度が11~14g/dl未満の場合に軽度貧血、8~11g/dl未満の場合に中等度貧血、8g/dl未満の場合に高度貧血と考えます。女性では10~12g/dl未満の場合に軽度貧血、7~10g/dlの場合に中等度貧血、7g/dl未満の場合に高度貧血と考えます。
Q3:貧血はどのように分類し、どのような症状がありますか?
A3:貧血にたくさんの種類がありますが、主な貧血としては鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血などです。貧血の一般的症状としては、身体内で酸欠状態になることによって現われる、全身倦怠感、無力感、頭重感、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、眼球結膜や顔色の蒼白などがみられます。(貧血の分類の詳細はこちら)
Q4:鉄欠乏性貧血
A4:健康な成人の身体の中には総量5000mg程度の鉄があり、その半分が赤血球に含まれ、残りは肝臓や脾臓や骨髄に貯えられています。鉄欠乏貧血は、全貧血の80~90%を占める多い疾患です。男:女比は1:5~6で、女性に多い病気です。鉄欠乏性貧血の原因は偏食、消化機能の低下による鉄分摂取不足、発育・成長・妊娠・出産・授乳などによる鉄需要の増大、月経多過・病的出血などによる鉄排泄の増加などです。鉄欠乏性貧血の場合は、小赤球性低色素性貧血とも呼ばれ、赤血球が小さく薄くなると共に、ヘモグロビン量も少なくなるので低色素になります。一般的な貧血症状以外に、舌炎、食道の異常感、嚥下痛、割れやすい爪、外側に反り返る変形した爪などの症状がみられます。このような患者さんは血液中の鉄濃度が減少しております。
Q5:再生不良性貧血とは
A5:再生不良性貧血の場合は赤血球を作る骨髄が障害を受けたり、赤血球が十分に作られなくなったために起る貧血で、白血球数や血小板の数も著しく減少する重症な病気で完治が難しいのです。再生不良性貧血の症状としては白血球減少による感染・発熱、血小板減少による出血などがみられます。
Q6:溶血性貧血とは
A6:一般的な貧血症状以外に、血尿や黄疸がみられます。溶血性貧血の場合は赤血球の寿命(120日)が極端に短くなり、脾臓で赤血球が壊され溶血します。溶血性貧血には免疫性溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血、常温型溶血性貧血、寒冷凝集素症、発作性寒冷血色素尿症、発作性夜間血色素尿症、赤血球膜異常、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、赤血球酵素異常、ヘモグロビン異常症、サラセミアなどめずらしい病気が含まれております。
Q7:巨赤芽球性貧血とは
A7:巨赤芽球性貧血をおこすのは、ビタミンB12欠乏性貧血や葉酸欠乏性貧血の場合で、赤血球を作るのに必要なビタミンB12や葉酸が欠乏したために起る貧血です。巨赤芽球性貧血、胃切除後性貧血、悪性貧血とも言われます。巨赤芽球性貧血の症状としては舌炎、知覚障害などがみられます。治療法としては注射でビタミンB12や葉酸を投与します。
Q8:続発性貧血とは
A8:基礎疾患として病気があるために起った貧血を続発性貧血と呼びます。すなわち、癌、リウマチ疾患、寄生虫疾患、心臓病、肺疾患、腎臓病、肝臓病などに伴って起る貧血です。妊娠によって起る貧血もこれに含まれます。急性失血性貧血では、大ケガをしたり、手術をして、大量出血した場合に一時的に赤血球を失う場合です。慢性失血性貧血では、胃潰瘍、痔、月経過多などで、長時間に少しずつ出血しておこる貧血です。
Q9:貧血によい食品
A9:貧血を治療するためには食事と薬物の投与です。レバーに鉄が多く含まれています。他に鉄分が多いのは、牛や豚の赤身肉、マグロ、カツオ、あさり、しじみ、ひじきなどの海藻類、ホウレンソウなどの緑黄色野菜、豆腐などの大豆製品です。
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